〜友成本感想の間(9)〜
[制覇の間][BNB]
★天山ノベルス
武装警察の有名な2人組、メカ音痴で拳銃がド下手な中年男・権藤と、何をするにもパーフェクトな美女・今村のシリーズ。月刊トモナリ状態だった時期に立て続けに発表された叢書なのだが、バイオレンス度が最も凄まじい。ここから読み始めた読者には刺激が強すぎるかもしれない。しかし、前半3冊はエンタメ要素と笑いが絶妙に融合した楽しい作品だといえるし、後半2冊は友成のバイオレンスアクション小説の最高峰に挙げてもよい高い完成度を誇る。これを読まないのは片手落ちというものだ。
「地獄の堕天使」と名乗る5人の男女が、重火器をひっさげて渋谷の百貨店に立て篭もる。中にいた客を人質に、渋谷区の支配権を政府に要求。まずは見せしめに、百貨店8階の窓から100人の人質の首吊りショーを行った!「地獄の堕天使」は女だけを人質に残し、警察を嘲いながら凌辱を続ける……。イカレた奴らに立ち向かうのは、武装警察の有名人、権藤と今村だ。
地獄の堕天使の拷問・凌辱ショーは、獣儀式等の初期作にあったような「人ならぬもの」によるものではなく、れっきとした人間によって繰り広げられるもの。既に用いたガジェットを使いまわしているのがほとんどだとはいえ、そのイヤ感はなかなか素晴らしい。しかし、それも霞むほどにこれまでの友成読者が裏切られるのは、完全に物語として成立しているところである!起承転結なのである!クライマックスでは権藤と今村が大活躍するのである!たかだか200ページの新書にこれだけ詰め込まれているのである!もう最高!読めよ!
爆笑のあとがきから。自分で言うなよ。
「こんな事を書くやつは、人間じゃない。隣に住んでいたりしたら、リンチするか逃げ出すかだな。」
地獄の堕天使大殺戮:★★★★★
今村大活躍:★★★★★
権藤大爆笑:★★★★★
京都に数百年生きる「一揆衆」と呼ばれる謎の集団。この集団を束ねるミヤコは、日本を恐怖の底に陥れるために日本各地で爆破事件をおこした。武装警察の権藤と今村は、生け捕った一揆衆の手下を締め上げた末に京都へ乗りこんでいくが……。
自爆爆弾魔が日本全国に一斉にあらわれるという展開に筆がのりまくり。爆弾魔の視点で「狂った日本を爆殺すべし!」という心情描写をネチネチと続ける章などもキッチリ用意されていて、緩急のつけ方が上手い。そしてまた権藤と今村が京都に乗りこんでからの描写が大爆笑で、権藤の「何とかの一念、岩をも通す」的なハチャメチャさに読者はページをめくる手を止められない。気合さえあれば何でもできる!撃たれても刺されても、「気にしない!」素晴らしすぎるナイスガイなのである。さあ、読め。
このへんのくだりで爆笑できる人とは友達になっておきたい。
「神は権藤に向かって、微笑みかけて下さった。ゴッド・ブレス・権藤。」
闊歩する爆弾魔:★★★★
ミヤコに凌辱されかかる今村!:★★★★★
行け行け権藤!:★★★★★
前作で逃したミヤコは、強力なドラッグの供給者でもあった。権藤と今村に復讐を誓うミヤコは、あまりに強力なドラッグで怪物化した一揆衆に今村を拉致させ、京都地下の地底王国で凌辱する。今村の窮地にまんまとおびき出された権藤は京都の地にたどりつくが……。
これまで愚鈍な上司のようにえがかれていた氏家部長が大活躍するという、シリーズを通して読んでいる人には楽しいエピソードもあるけれど、やはりメインは権藤と今村の京都大戦。権藤が到着したときには既に今村がやられまくった後だというところに開いた口がふさがらない。さらに権藤のお尻まで危ういところに震える横隔膜は止まらないのである。うっひっひ。さらにさらに権藤今村の大逆転には外れた顎が戻らないのである。なんだそりゃー。敵も味方もみんなアホ。俺もお前もアホ。爆笑のエンターテインメント万歳。
もう筆がノリノリで、ギャグがふんだんに盛りこまれています。ちゃんと伏線です。
「権藤は、憤怒の形相を浮かべ、唇をめくって言葉を絞り出した。『アイスクリーム……俺のが、まだ来てないぞ』」
怪物と化す一揆衆:★★★
よがるな今村!:★★★★★
いけいけ権藤!:★★★★★
これは、武装警察ができる端緒となった話。白昼の日比谷で東独の要人が暗殺された。ヨーロッパのテロ組織による犯行だとみた警視庁は、期待のコンビ権藤と今村をドイツに派遣する。だが、到着した先でも要人は暗殺され、次第に2人はヨーロッパ情勢の波にのまれていくことになる……。
笑いを抑え、エログロも最低限に抑えることで、至極真っ当な「バイオレンス・アクション小説」となっている。これが友成作品としては非常に異色であり、逆の意味で楽しめる。シリーズキャラが人間の枠を越えた特殊能力を持たず(権藤は怪しいものだが)、妖怪が闊歩するわけでもない世界が舞台であるためだろうか、「あれ、普通の小説も面白く書けるんじゃないの」とすら思えてしまう。拷問シーンにいつもの筆が復活しているが、それが物語上意味があるというあたりも珍しい。友成のグロはどうも、という人はこの本を攻めてみてはいかがか。
本書の見どころは、今村と女殺し屋ボジェナの対決にある。
「『ボジェナも、あたしとの対決を望んでいる』今村は、陶然と呟いた。」
謎の組織の暗躍:★★★
突き進む権藤:★★★
今村とボジェナ:★★★★★
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◆淫獣迷宮
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天山出版・天山ノベルス 1990/10/05発行
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大手自動車メーカのパリ支社長の娘が、「悪魔の手」なるテログループに誘拐された。権藤と今村がパリまで派遣されるが、フランス警察の失態によって刺激された犯人グループが送りつけてくるビデオの中で少女が凌辱される様子はエスカレートする一方だった。モロッコに逃亡する「悪魔の手」は現地の盗賊団とも手を組み、さらに多額の身代金をつきつけてくるのだが……。
前作同様、物語としてきっちり作りこんでいる印象が強く、作品としての完成度を気にする人には強くおすすめしたい。ただし異様なテログループをえがこうとしたためにキャラが暴走し、エロとグロが勝ちすぎている(いや、いつもの友成作品に戻っているというべきか)ようにも感じるが。クライマックスは映像が浮かんでくるような美しさで、これは友成作品の中でも名シーンだと言うことができるだろう。ぜひ体験していただきたい。
いかにも友成らしい展開で……。(のっぺら棒…原文ママ)。
「またパリの警察の本署宛に、悪魔の手からビデオ・テープが送られて来た。生き物が一つ、映っていた。顔は、のっぺら棒。手足の指が、あらかたない。」
悪魔の手の凌辱:★★★★
テログループの内紛:★★★
今村が翔ぶ:★★★★★
[制覇の間]