〜友成本感想の間(8)〜
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★ソノラマノベルス
 ソノラマノベルスといえば魔界ハンターシリーズだが、どれも書きたいことが多そうなわりに駆け足になりすぎていて、良くも悪くも友成らしさだけが先走った作品になっている。それでも一応の結末は用意されているので、読み物としては楽しめるだろう。珍しく、続きがあるかもね、と書き残しているシリーズでもあり、期待だけは捨てきれない。

◆魔王降臨 魔界ハンター1 朝日ソノラマ・ソノラマノベルス 1991/01/20発行
 記者の希美子は「東京怪奇スポット探訪」という雑誌の企画のため、サイキックの正人とともに都内の怪屋に取材に向かう。希美子はそこで魔物に魅入られかけるが、正人の助けで事無きを得るとともに正人に全幅の信頼をおくようになるのだった。その取材で書かれた記事は、正人の霊的なインスピレーションから怪しい教団「地獄の炎」の陰謀を読み解くこととなってしまう。さらに正人の霊力は、いやいやながらも出演したテレビ番組で実際に魔物を呼び寄せる結果となってしまい……。

 恵比寿の怪屋ってのが登場。国産ホラーではよく登場しますね恵比寿。無難にまとまっているといいましょうか、面白いのは確かなんです。ノベルスという媒体の正しい形でしょう。でもちょっとこじんまりしすぎていて、物足りないかなあ。これはおそらく、主人公に「達観」「あっさり」というキャラづけをさせてしまったがためなんだろうとは思いますが。
魔物にとりこまれそうになる正人に、友成宇宙論が全開です。
走れば走るほど、恐怖が募る。わめけばわめくほど、背筋が冷たくなる。騒げば騒ぐほど、自分が虚無の内にたった一人で放り出されているのだと、実感されて来る。
恵比寿の怪屋:★★★
テレビ収録の降霊会が大パニック:★★★★★
あっさりラスト:★★★

◆切り裂き魔降臨 魔界ハンター2 朝日ソノラマ・ソノラマノベルス 1991/05/20発行
 正人と希美子は、「ロンドン魔界スポット探訪」企画の取材のためロンドンにいた。ロンドンの超心理学研究所で正人の霊能力が計測されようとするが、研究所の所長は前作から因縁深い教団の手の者であり、正人の想像を絶する能力もあって切り裂きジャックの霊を呼び出してしまう。さらには正人の能力が封じ込められてしまった。希美子は正義の研究所員サタジットとともに逆襲にうって出るが……。

 切り裂きジャックという得意のネタを使った1篇。切り裂きジャックにまつわる描写には抜群の冴えを見せながら、正人が出てくるとやっぱりあっさり。ここまでくると清々しいものがあります。読み飛ばすには適しているのかもしれませんが。
切り裂きジャックはスナッフビデオ撮影の現場に降りる。
たかが”犬殺し”より、もっと凄いビデオを撮ってやるぞ。ウルフは、意気込んでいた。
切り裂きジャックの霊:★★★★★
サバト:★★★
ジャックVS正人:★★★★★

◆カタストロフ降臨 魔界ハンター3 朝日ソノラマ・ソノラマノベルス 1991/09/25発行
 正人と希美子は研究者サタジットと共に霊力強化服の開発を進めていた。そこに教団の超能力者たちがサタジット暗殺と正人誘拐を目論んでやって来る。教団は魔界をロンドンに現出させようとしていた。ロンドンタワーを中心に強大な霊力がほとばしりはじめる……。

 いちおうの完結篇ですが、淡白さは変わらず。うーむ。正人の1人称描写において、友成宇宙論に近い世界観が訥々と語られる場面も出てくるので、これまでと異なる主人公像の模索だったのかという穿った見方もできはしますが、活き活きしているのは主人公以外の登場人物だけというのはどうかなあ。ただ淡白だというのは普段の友成小説のカットビ具合と比べて、ということなので、作品単体ではそこらの読み捨てノベルスではなかなか到達し得ない面白さを誇っています。
ここでも糞食らえヒューマニズム!
現世と冥界の区別など、ある方がおかしい。神も悪魔も、あるものか。あらゆる局面に差異と区別を持ち込み、結局は人間を至上最高のものと考える。その傲慢さこそ、矯されるべきなんだ。
ロンドン塔の怪奇:★★★
超能力者軍団:★★★★
ロンドン塔の大アクション:★★★★★

◆吸血山脈 朝日ソノラマ・ソノラマノベルス 1992/04/30発行
 トランシルヴァニア地方の小さな村で、日本の調査隊がドイツ軍のものらしい戦車を発見した。同じ頃、その村では吸血鬼に襲われたとしか思えない女性の死体が見つかっていた。この地では戦時中にナチの部隊が怪しい研究を行っていたというが……。

 ××VS吸血鬼という設定にはいろいろありますが、この作品はナチ対吸血鬼。ナチがオカルト研究も行っていたという通説をもとにしており、非常に楽しめます。友成作品には、しばしば超現実主義者が登場して物語をわやくちゃにしてしまうことが多いのですが(ああ、土竜の聖杯!)、ここでも潔癖な現実主義者であるナチ将校が物語をわけのわからない代物にしてくれてしびれます。とってつけたようなオチには顎が落ちてしまうのも確かではありますが。
超現実主義者が気付く現実。
ふと気付いた。俺は、怖がってるんだ。頬を、生臭い空気が撫でた。
ナチ実験:★★
ナチ拷問:★★★
ナチ対吸血鬼:★★★★

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