〜友成本感想の間(6)〜
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★講談社ノベルス
 講談社ノベルスでは、怪獣への熱い憧憬がたたきつけられている……ものと思いたい。もっと書けるだろう!と思ってしまうのだが……。講談社ノベルス下記3作への自註自解も含めた怪獣への想いは、幻想文学誌39号によせられたエッセイに詳しい。興味のある方は、お見逃しなく。

◆放射能獣−X 講談社ノベルス 1988/08/05発行
 記者である福地と恭子は昆虫異常発生の情報をうけて取材におもむく。現場で遭遇したのは2人の想像を絶する昆虫たちの異常発生、そして首都圏の方角へはじまった大移動だった。同じ頃、深海八千メートルで目覚めようとする生命体の姿があった。放射能の毒を全身に受け、痛みだけを感じ続ける大怪獣は、東京に向かってゆっくりと動き出した……。

 着目すべきは、怪獣の内面描写があること。放射能の毒に冒され、痛み・苦しみのほかに感情めいたものを持てない生き物だ、という描写を怪獣側から行うことで、単なるパニックホラーとは一線を画したものになっている。昆虫大発生という魅力的なガジェットにも存分に筆が割かれ、楽しい作品だ。人間がいかにも狂言まわしの役回りとして描かれている(執拗に「現実感を伴えない」「平和ボケ・安全ボケした」現代人、という描写がなされる)あたりに、非常に友成らしさを感じる。
著者のことばより。
怪獣映画で育って来た者にとって、都市の俯瞰図は怪獣がいなければ完成しない。
昆虫大発生:★★★★★
放射能獣X:★★★★
でも、オチないの。:★★

◆インカからの古代獣V 講談社ノベルス 1989/09/05発行
 城之内博士をリーダーとする発掘調査隊が、インカ帝国の財宝を求めてペルー奥地の密林に分け入った。遺跡の中で数々のトラップに命を落とす者を出しながらも、神をかたどった像を発見、日本に持ち帰る。だがそのときすでに、神像を守護するものは目覚めていたのだった。神獣は、奪われた像を追って日本へと飛来した……。

 ネタの勝利、だろう。自身のインカ旅行に材を得て、モスラ的な物語を「狂信的な人間が確信犯で起こす」のだ、面白くないはずがあろうか。講談社ノベルス3作の中では、これを推します。物語の盛り上げ方が巧いんだよなあ。
ここからがこの物語のクライマックスだ!
「怪獣を、私は捕獲したい」城之内は、訴えていた。
密林・大遺跡の恐怖:★★★★
古代獣の復活!:★★★★★
大盛り上がりのクライマックス:★★★★★

◆ネッシー殺人事件 講談社ノベルス 1991/01/05発行
 高校時代からの仲間達が集まった夜通しの飲み会があけると、中の1人が惨殺死体となって転がっていた。そして大学ゼミの研究で行ったネス湖から持ち帰ってきた謎の卵が消失していたのだった……。

 怪獣3部作のラストを飾るのは、大怪獣によるスペクタクルではなく、エイリアン・物体Xといったタイプの異形の生物によるサスペンス。スペクタクルを期待していると完全に肩透かしをくうが、作者の自註などを見ると前作までとは方向性が異なるとはいえ怪獣モノとして手応えのある作品という位置付けであるようだ。しかし、確かに怪獣が活躍する描写には冴えを見せるとはいえ、ラストに象徴されるように、あまりに現実感を強調しようとしたがために「ああ、そうですか」で終えてしまうのが残念だ。
うーん、なんだかなあ。
今回の事件を機に、ネッシー調査は新たな段階を迎えようとしていた。
忍び寄る恐怖:★★★
戦慄の正体:★★
破壊の快楽:★

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