〜友成本感想の間(4)〜
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★フタバノベルス
 フタバノベルスといえば「ヴァニス」シリーズ。何はなくともヴァニスシリーズ。宇宙を駆ける娼妓船にしてその実体はスパイ軍団である、という設定だけ見ると、スペースくの一忍法帖とかスペオペ版女囚アマゾネスみたいなのを想像するのだが、どこがスパイやねん。おもしろいです、以上!他に何が要る!あとがきも大爆笑です。

◆宇宙船ヴァニスの歌 双葉社・フタバノベルス 1987/03/10発行
大陸書房・天山文庫(文庫版改題:聖淫女軍団) 1990/07/05発行
 第一部は短編が4篇。性行為を介して寄生する謎の生命体にとりつかれた娼婦「満艦飾の女」ヴァニスの主たるサイボーグ女将・リリーの果てしなく非日常的な日常「サイボーグ女将」ヴァニスの名物張り紙<亜空間エンジン室では、ファックおよびそれに類する行為に耽らないこと>が張り出されるに至った経緯とは「虚人の呼び声」沈着冷静なドクターの理性すら奪ってゆく理想の女「異次元の天使」。
 第二部はヴァニスの娼婦と娘子軍―開発星で働く気の荒い男どもの妻たち―との、男のカラダを巡る骨肉の争い。発端となるなんともあっけらかんとした拷問シーンから、飛び交うビーム、爆発物、謎の器具、行きついた先の笑撃の結末は。

 宇宙船ヴァニス登場である。第一部はまだ普通(?)に「SF設定のエログロ」で、ヴァニスの搭乗人物紹介も兼ねた短編群なのが、第二部に入って一変。いきなり「戦う娼妓」になってまった。ヴァニスに通いつめる男たちの妻軍団と、ヴァニスの娼妓たちの戦いがめっちゃくちゃ。エスカレートした先のアホなギミックが最高だ。ラストに控えしはヴァニスの長、リリー様の勇姿。しかしまあ、そこまでするかリリー様!「なんだそりゃ!」と笑いながら読むがよかろう。そういう本だ。これはもう手放しに面白いんだから笑いなさい笑いなさい。
単身乗り込んできた妻ともども、ヴァニスの娼婦たちにぎっちょんぎっちょんにされた男が、七色の人造ペニスを装着した復讐鬼と化してやって来る。
ただ、あまりに常軌を逸した代物なので、理性がそうと認めたがらなかったが――電動ドリル。それも、螺旋状の溝が剃刀のように研ぎすまされた奴。

あとがきより。そ、そうですか…
セックスが売り物の娼妓船なので、性器にちなみ、ヴァギナとペニスとアヌスの三つを合わせて<ヴァニス>と名付けただけ。
復讐鬼ニール:★★★
マルタの大復活:★★★
リリー様の勇姿!:★★★★★

◆恐怖の暗黒魔王 双葉社・フタバノベルス 1987/05/10発行
 銀河連邦に反逆する”ヒューマニスト”プレッジ・スミスの軍団。その四天王の1人・竜神童子が、銀河連邦の情報収集船つまりはヴァニスを占領しようとやってくる。共に乗りこんでくるのは怪しいナイフ使いのコワルスキーと、赤衛兵―70年前の戦争で脳髄のみをサイボーグ移植させられた兵士たち―のマッド・マシン。ヒューマニストの大義名分を振りかざし、揚々とやってくる竜神童子にヴァニスの面々はどう立ち向かうのか……いや、どうお相手差し上げるのか……。

 この作品では、友成の「くたばれ、ヒューマニズム」の精神が執拗に繰り返される。作中その忌むべき「ヒューマニズム」を語る竜神童子をとことん滑稽に描いているのだ。末弥純・画の表紙に描かれるのがおそらく乗りこんでくる三人組で、このニヒルに描かれた竜神童子がこれだけ滑稽なのかと思うと笑えてくる。この「ヒューマニズム」はある種「お涙ちょうだいハリウッド映画」で語られちまいそうな代物なのだが、それがいかにエゴエゴであるか(いかに客観視できていないか)を改めて気付かせてくれる。あまりに何度も繰り返されるので、途中で飽きてしまうきらいはあるかもしれないけれど。
 見所は、ヴァニスのナンバー2・撫子の活躍、ドクターの過去、そして「やっぱりあんたでオトすのかリリー!」。特にドクター関連の物語はヴァニスファンは見逃せない。リリーは……もう、何でもアリやがな。
歴史的バカップルの誕生。竜神童子の言動には笑いが止まりません。
「うん……いいとも……君たちには、絶対に迷惑をかけない。ぼくは、ヒューマニストだ」竜神は、胸を張った。「あたしは、エゴイストよ」撫子が再び、竜神の下半身にむしゃぶりついていった。「こいつう」竜神は、生まれて初めて安息感を味わっていた。

あとがきより。だって、あとがき面白いんですもの。
誰もあとがきのことしか誉めてくれなかったぞ。ひょっとすると、本文を読んでくれた人、いないんじゃなかろうか。確か一年くらい前までは、みんな本文のことをあれこれ言ってくれていたのに……。いささか、うろたえてしまった。どうしよう。
撫子大反乱:★★★★
竜神童子最高:★★★★
ヒューマニスト糞食らえ:★★★★★

◆血飛沫電脳世界 双葉社・フタバノベルス 1987/10/10発行
 地球政府の大統領ラオは、その強靭な精神力と確かなカリスマによって、全身をほぼサイボーグ化した250歳の今もなお世界を統治する存在として君臨していたが、さすがにその中枢神経は限界に達しようとしていた。ある会議の場でラオはついに発狂してしまう!暴れまくった末にカラダが死んでしまったラオの意識はマザーコンピュータに移植されることになったのだが、ラオの意識とシステムプログラムの融合の果てに、はたして世界中にラオの狂った意識が奔流してしまうのだった。「我が代の春!」の大号令とともに、世界中で始まる狂宴。そんな地球を目指して、ヴァニスが帰ってくる……!女主人リリーはラオの第3夫人。リリーのラオに対する愛情は、大団円をもたらすか?

 やばい、やばすぎる、面白すぎる。ヴァニスシリーズでどれか1冊読むのなら、これを読みましょう。爆笑フレーズが満載です。「我が代の、春!」「こんにちは!」よく見ればそういうセリフしかない。1度読み終えたら、改めて頭からセリフ部分だけ斜め読みしてみればわかります。脱力に次ぐ脱力、ワタシはこんなのを読んでいたのだろうか、虚無感に襲われます。そのくせめっぽう面白い。ラストの趣向もたまりません。探しましょう探しましょう。
こんなんばっかなのよ、この話。
「ぶはらきまりんたらんちりおわかあ!」

あとがきより。爆笑のフレーズを2連発。
ぼくはどうして、こんなに才能があるんだろうか。いずれ、大作家になることは間違いない。初版本は値が出るから、みなさん、今のうちに買っておきましょう。
本書「血飛沫電脳世界」は、サイバーパンクであると予告しました。が、嘘です。
我が代の春!:★★★★★
こんにちは!:★★★★★
一応サイバーパンクなんじゃないの?度:★★★★

◆戦闘娼妓伝 双葉社・フタバノベルス 1988/05/10発行
 プレッジ・スミスとヴァニス娼伎軍との全面戦争勃発。撫子率いる軍団がヴラド星域への侵入をはかる。対するプレッジはヴァニスに「花咲か爺い」を送り込む。花咲か爺いの特技はどこにでも肉の花を咲かせその香りで人間を官能の渦へ誘うこと。ヴラド星域で繰り広げられる、ヴァニス軍と竜神童子率いるゲリラ軍の死闘!ヴァニスの中でのしっちゃかめっちゃかな花咲か爺いの大活躍!そして、ついに撫子らの眼前にプレッジ・スミスが……。

 あとがきで「ほら、アニメなんかで、よくあるでしょう?前の週に爆弾で吹き飛ばされた奴が、ケロリと翌週に出て来る。」と示されているとおり、前作品で死んだはずのキャラが同じような活劇を繰り広げる。ま、ほんとなんでもありよね。竜神童子がまたもや滑稽でどーしょーもなくって大爆笑。花咲か爺いも面白すぎです「花だよ〜」。ケラケラ笑って読みませう。
ヴァニスの娼伎たちは派手な戦闘のあとでもアッケラカン!
「それもそうね」あっさり納得してしまう、五人なのであった。

あとがきより。どうですかこの不敵さ。
原稿を書くのは、芝居をするのと一緒だと思う。【略】ぼくの小説を読んだ人が、作者本人を凶悪な人間と思ったなら、要するにそれは、筆者に豊かな才能があるのだと言うだけの事です。
あほたれヒューマニスト:★★★★
なんでもありだぜプレッジスミス:★★
あ、それ、花だよ〜:★★★★★

◆無頼漢 双葉社・フタバノベルス 1988/12/20発行
 新潟県の山中、怪しい工事現場。現場作業員にはしらされてはいなかったが、新兵器の軍事工場として機能するものらしかった。氷川はこの機密を探ろうとしていた。その目論みに加わろうとするのは、寡黙な男・海野と大酒呑みの爺・藤原。作業員として働きつつ現場で産業スパイを探っている屈強の男・ブル公との争いを経つつ、彼ら無頼漢どもの企みは進んでいく。そしてその新兵器とは、超能力兵器なのだった……。

 ああ、いつもの悪いクセというか、「友成的尻すぼみ小説」の典型的な例である。ネタは面白いのですよ、ガジェットも豊富なの。でも、「え、終わり?」なラストにはモヤモヤ感を否めない。そのカタストロフィの唐突さこそが見るべきところなのかもしれないけれど、設定を刻々と説明してきてラストにこれ、では、ちょっと勿体無く思えるのね。贅沢なのはわかってるけれど。というわけで、読む本がなくなった頃に読めばよい本でしょう。
この「最終決戦へ!」から、20pそこそこで終わっちゃうんだよ、これがあ。
「行くか、爺さん?」海野は、声を掛けた。「あたぼうよ……行かいでか」
面白そうな設定!度:★★★★★
海野の活劇に注目せよ:★★★
ザ・尻すぼみ:★

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