〜友成本感想の間(11)〜
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★単行本
 マイナーな叢書ばかりで、のちのち読める形で残るとは想像しにくい。いずれどこかで文庫復刊でもされてくれると嬉しいのですが……。

◆「ホラー映画ベスト10」殺人事件 扶桑社・FUSO500 1989/04/25発行
 庄内良輔はホラー映画の評論家だ。ある夜、バーで出会った助監督に喧嘩をふっかけられ、あげく土下座させられてしまう。映画評論家は撮影現場の人間に好かれていないとはいえ、庄内の気持ちはおさまらない。しかしその助監督は「悪魔のいけにえ」の1シーンのような無残な死体として見つかる。さらに庄内の天敵ともいうべき評論家・兼松も、「2000人の狂人」のような状況で重傷を負い、庄内がやったのだと告げた。庄内は警察に追われることになってしまう。

 ホラー映画のガイド本としても、映画評論の内情暴露本としても、私小説としても読める不思議な作品。ホラー映画のオールタイムベストに投票したベスト10内容の見立て殺人という趣向だけでも爆笑ものだ。全編にわたるブラックユーモアの雰囲気が本当にすばらしいし、ホワイダニット(が、いちおうある)のトホホ感も最高だ。書き飛ばし感もかなり強いので、いきなりこれから読むというのはすすめられないが、ある程度友成本を読み込んで、物語の辻褄とかそういう瑣末な事がどうでもよくなった人なら絶対に楽しめるはず。
初っ端からぶっちゃける。
映画評論家でさえ眠ってしまうのだから、ましてや一般観客が退屈しないはずがない。そのような映画を「今年のベストでした!」などと推奨するのだから、世の人々が映画批評を信用しなくなるのも、無理はなかった。
悪魔のいけにえ:★★★
2000人の狂人:★★★
結局庄内って動揺もなんもしてないのね…:★★★★★

◆黒魔館の惨劇 天山出版 1991/08/30発行
 ロンドンに越してきた平和な家族が棲むことになったのは「幽霊屋敷」ロンドンというのは、実はとても汚れた街だ。まるで「異邦人の街」誕生日パーティで羽目を外した学生たちが墓地で「不死者、目覚める」階上の部屋から怪しい音が「闇が、軋る」男は館の書斎にある大量の資料に心を奪われてしまった「黒魔術の館」

 ロンドンはチボー家の館で起こる怪事をまとめる連作短篇集。自身のロンドン滞在経験が存分に活かされ、静かな禍々しさが漂う素晴らしい仕上がりになっていると思う。そのため、いつものはっちゃけた小説を期待してはいけない。狂っていない人間の視点であること、また怪異に巻き込まれていく中でも事実を冷静に受け止める瞬間があるということが、静かさを演出し、また後をひく恐怖を読者に残している。良質の館ものホラーだろう。
とにかく、静々としているのである。
足が動かないのである。前に進もうと思うのだが、身体が拒否している。
魔界都市ロンドン:★★★★
不死の者チボー:★★★★★
誰が死のうと次の入居者を探す不動産屋:★★★★

◆ジャック・ザ・リッパー JICC出版 1992/08/10発行
 ジャック・ザ・リッパーの猟奇的な犯罪録。

 切り裂きジャック事件を実話小説風に書いた異色の1冊。三人称でなく、被害者の売春婦の視点はもちろん、切り裂きジャックの視点からも書いているのが非常に印象的だ。切り裂きジャックが友成小説化している!なお、後ろ半分はロンドン幽霊スポット紀行になっていて、こちらも楽しい読み物だ。
殺害現場を訪ねてまわるなどして。
現場を何度か訪れながら、事件についてあれこれと思い巡らせた。本稿は、それを文章にしたものである。
巻頭には現場写真…:★★★★
小腸の額縁:★★★★
あなたも魔界都市へ:★★★★

◆電脳猟奇 ぶんか社・ホラーウェイヴ叢書 1998/10/10発行
 少年課の刑事である鏡子は、以前に担当していた少年が陰惨な殺され方をしたことに衝撃を受ける……。スナッフフィルム好きの石川は、ネットで知り合った相手からスナッフフィルムを買い漁っていた……。武器を持って立て篭もる少年たちを機動隊が取り囲む……。

 無関係な挿話まではさみながら、これといって目立った山がなく淡々と続く物語。これで単行本1冊ぶん小説がもってしまうというのが素晴らしい。読者はおそらく、読み終えて何も印象が残っていないことに驚いてしまうのではないか。ひとつひとつのエピソードがやたらと丹念に書き込まれていながら、静かで、だが確かに友成小説であるという不思議さ。ショートショート連作のように読めばよいのだろうか。過剰なノベルスとは対極にある佳作と感じる。
いちばんのお笑いポイント。
教育だな、やっぱり、今一番重要なのは。教育問題だよ、うん
しぇからしかあ!:★★★★
スナッフの恐怖:★★★
御意、御意にございます:★★★★★

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